金山山荘キャンプ場に何度も通って分かった注意点|予約・寒さ・買い出し事情

便利な道具に囲まれ、至れり尽くせりの高規格キャンプ場で過ごす時間も悪くはない。しかし、時折、そうした人工的な快適さからあえて距離を置きたくなることはないだろうか。

標高約1,400メートル、奥秩父の豊かな自然と瑞牆山(みずがきやま)の荒々しい岩肌のふもとに位置する「金山山荘キャンプ場」は、まさにそんな大人のための隠れ家のようなフィールドだ。

ここには過剰な設備もなければ、便利な電源サイトもない。あるのは、美しい白樺の林と、どこか遠くから微かに聞こえてくる渓流のせせらぎ、そして静寂だけだ。

トイレと炊事場だけの環境でも、白樺の間にテントを張り、ランタンを灯して焚き火の前に座っていると、余計な設備がないこと自体が落ち着きにつながると感じた。高規格キャンプ場のような便利さを求める人には物足りないが、不自由さを含めて静かに過ごしたいキャンパーには合う場所だ。

今回は、私が何度も足を運び、そのたびに心の洗濯をさせてもらっているこの美しいキャンプ場の魅力と、私のリアルな失敗談から得た「これから訪れる方へ絶対に伝えたいアドバイス」を詳しくご紹介する。

ありのままの白樺林とフリーサイトの魅力

金山山荘キャンプ場の最大の魅力は、境界線できっちりと区切られた区画サイトではなく、自然の白樺林をそのまま活かしたフリーサイトである点だ。

白樺の木立に囲まれたキャンプサイトに設営された2ルームテント「ファシル」
美しい白樺の木立に囲まれた静かなフリーサイト

少し離れた場所を流れる川の音に耳を傾けながら、美しい白樺の林の間に「自分だけの居場所」を見つけ、テントとタープをどう配置するかを考える。これこそが、フリーサイトならではの醍醐味と言える。

白樺のフリーサイトに置かれた薪や焚き火台、チャコスタなどのキャンプギアと奥に見えるテント
余計なもののない、必要十分でシンプルな大人の空間

お気に入りのローチェアを置き、愛用のガソリンランタンが放つ「コーッ」という静かな燃焼音と、薪のはぜる音に身を委ねる夜。周囲に余計な街灯がないため、夜の帳が下りると頭上には吸い込まれそうなほどの満天の星空が広がる。

夜の白樺林のキャンプ場で、ローチェアに座って焚き火を囲みながらくつろぐ2人の人物
夜になると白樺の白い幹が焚き火の光に美しく浮かび上がる

便利なものに頼らないからこそ、研ぎ澄まされていく五感が、日常で凝り固まった心をゆっくりと解きほぐしてくれるのを感じるはずだ。

大型連休でも直前予約が可能?知る人ぞ知る「駆け込み寺」としての価値

昨今のキャンプブームにおいて、ゴールデンウィーク(GW)やお盆休み、あるいは天気の良い週末のキャンプ場予約は、数ヶ月前から激しい争奪戦になるのが常識だ。行きたいと思ったときにはどこも満サイトで、途方に暮れた経験のある方も多いのではないだろうか。

しかし、ここ金山山荘キャンプ場は、そんな加熱するブームとは一線を画した、良い意味で大らかな空気が流れている。

実は私自身、GWやお盆の数日前に電話をして、予約が取れたことが複数回ある。たとえば大型連休前に他のキャンプ場が満サイトで諦めかけたときも、金山山荘キャンプ場だけは電話で受け入れてもらえた。普通の週末であれば、前日でも相談できる可能性があると感じている。

いつ電話しても、ふらりと受け入れてくれる安心感。これほど心強い場所は、今の時代そうそうない。予定をガチガチに固めず、その時の気分や天候に合わせて「今週末は静かな山へ行こう」と思いつきで行動できる柔軟性こそ、忙しい日々を送る大人のキャンパーにとって、この上ない価値と言えるだろう。

雨予報での温かい対応と、山荘で味わう絶品ピザ

このキャンプ場の大らかさと管理人さんの温かいお人柄を表す、私の忘れられないエピソードがある。

ある週末、天気予報が「雨が降るか降らないか微妙なライン」の時に現地を訪れたことがあった。いざ到着してみると、標高が高いこともあって下界よりもずいぶんと本降りの雨になってしまっていた。

恐る恐る受付に向かうと、山荘の方から「今日は無理して泊まらないで、やめておいた方がいいよ」と、こちらの身を案じて声をかけてくれたのだ。

同行していた子供もすっかり雨で乗り気ではなかったため、その日はお言葉に甘えてキャンセルさせてもらうことにしたのだが、なんとキャンセル料もいっさい取られなかった。

昨今のブームの中では、規約通りにキャンセル料を徴収されるのが当たり前になりつつあるが、こうした利用者に寄り添った柔軟な対応には本当に心が温まる。

ただ、そのまま手ぶらで帰るのも寂しい。実は、受付のある金山山荘本館では、名物の美味しい「石窯ピザ」をいただくことができる。その日はキャンプを断念した代わりに、山荘の中でアツアツのピザを子供と一緒に堪能し、お腹も心も満たされて帰路についた。

もちろん、そのすぐ後に訪れた「気持ちよく晴れた週末」に、しっかりとリベンジのキャンプを果たしたのは言うまでもない。下界では曇り程度の予報でも、標高の高い金山山荘周辺では天候が大きく変わることがあると実感したため、それ以降は山の天気予報も確認してから出発するようになった。

金山山荘で失敗しない3つの注意点

ありのままの自然を愉しめる素晴らしい金山山荘キャンプ場だが、下界の感覚のまま向かうと、思わぬ厳しい自然の洗礼を受けることになりかねない。ここでは、私のリアルな失敗とこれまでの経験から、これから訪れる方に絶対に心に留めておいてほしい3つの重要なアドバイスをお伝えする。

① 食材の買い出しは必ず「中央道インター付近」で完璧に揃えること

まず最も注意すべきは、キャンプ場周辺の買い物環境だ。金山山荘キャンプ場の付近には、食材や消耗品を買い足せるようなスーパーやコンビニはいっさいない。

山道をかなりのぼった山奥に位置しているため、「足りなければ後で買いに行けばいい」という考えは通用しない。一度サイトを構築したあとに、再び狭い山道路線を下って買い出しに向かうのは想像以上に骨が折れるものだ。

メニューをあらかじめ決めておき、中央自動車道のインターチェンジを降りた付近にある大型スーパーなどで、食材や薪などの必要な物資は完璧に揃えてから現地へ向かうのが鉄則である。

私も一度、現地に着いてから翌朝用の飲み物と調味料を買い足したくなったことがある。しかし、テントを張り終えたあとに長い山道を下る気にはなれず、結局あるもので代用することになった。

結果的に、手元にある調味料だけで食べることになったため、金山山荘キャンプ場では「足りなければ現地で買う」という考えは捨てた方がいいと感じた。

② ゴールデンウィークの寒さを甘く見ない|標高1,400mの現実

2つ目は、山の「気候」についてだ。まだ初夏の汗ばむ陽気を感じることもあるゴールデンウィーク(GW)だが、ここ金山山荘の寒さを絶対に甘く見てはならない。

かつて私は、GWだからと油断して一般的なスリーシーズン用のシュラフだけを持って泊まったことがある。日中は過ごしやすかったものの、夜になると一気に冷え込み、シュラフの中に入っても足先が冷えて何度も目が覚めた。標高約1,400メートルの夜は、下界のGWとは完全に別物だと痛感した。

春や初夏であっても、夜間は真冬並みの気温まで落ち込むことがあるため、ダウンジャケットなどの厚手の防寒着や、冬用の厳冬期シュラフ、あるいは毛布などを余分に用意するなど、過剰と思えるほどの防寒対策をしていくことを強くおすすめする。

③ 温泉の最新情報と、向かいの山荘で利用できる「500円のシャワー」

3つ目は、キャンプ帰りの愉しみでもある周辺の「お風呂」に関する重要な最新情報だ。周辺の定番スポットとして有名だった「増富の湯」は、2026年現在、施設の老朽化に伴うメンテナンスのため休業中となっている。

近隣の温泉施設が使えないとなると困ってしまうが、そんなときに非常に頼りになるのが、キャンプ場から道を挟んですぐ向かいにある「金山山荘本館」のシャワーだ。

料金は1回500円で利用することができる。実際に使ってみると、温泉施設のように湯船でゆっくり過ごす場所ではないが、設営でかいた汗を流すには十分だった。長居する施設ではなく、短時間でさっぱりして帰るための実用的なシャワーと考えた方がいい。

なお、脱衣所・着替えのスペースが少し手狭な造りになっているため、お風呂セットや着替えなどの荷物はあらかじめコンパクトにバッグ等へまとめて持参するのが、スマートに利用する小慣れたコツだ。

場内に現れる小さな隣人|猫との付き合い方

最後に、このキャンプ場ならではの環境についてひとつ。金山山荘の場内には、時折とても人懐っこい猫がふらりとサイトに姿を現すことがある。

ネットの口コミなどでは「可愛いマスコット」のように書かれていることもあるが、実際のところは顔に目やにがついていたり、毛並みも少し汚れていたりと、いかにも野生をたくましく生きる「外猫」といった風情だ。そのため、特別に猫好きでなければ、あまり積極的に撫でたいとは感じないかもしれない。

ここの猫との付き合い方は、キャンパーそれぞれのスタンスで構わない。もし猫が好きで、少し触れ合いたいのであれば餌をあげてみるのもいいだろう。

逆に、「特に構いたくないな」と思うのであれば、いっさい餌をあげずに放っておくのが正解だ。人間側が関心を示さずにいれば、猫たちは悪さをすることもなく静かにその場を去っていく。

無理に追い払う必要もないが、気が向かなければ構う必要もない。そんな「お互いに干渉しすぎない気楽な距離感」で、静かな高原の時間をそれぞれに過ごすのが、ここでのちょうどいい付き合い方と言えるだろう。

まとめ|何もないからこそ、心に深い豊かさが生まれる

完璧な買い出しと十分な防寒装備、そして周辺の正しい情報を携えて向かえば、金山山荘キャンプ場はこれ以上ない最高の癒やしの空間を提供してくれる。

設営を終え、ドリップして淹れた熱い珈琲をすする朝。都会の喧騒や日々の仕事の忙しさから完全に切り離されたその空間では、ただ風の音と鳥のさえずりだけが耳に届く。

便利な日常からあえて一歩引くことで、五感がリセットされ、心の中がきれいに洗い流されていく。本当の何もしない贅沢を愉しみたいすべての大人のキャンパーに、ぜひ一度この静寂に満ちた聖地を訪れてみてほしい。

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