ツールームテントに興味を持つ方も多いのではないだろうか。この記事では最近手に入れたツールームテント「オガワ ファシル」を実際使ってみて気づいた点、メリットとデメリットなどを紹介します。
息子が選んだツールーム「ファシル」。あえて口を出さずに見守ることにした
アウトドアショップでアルバイトを始めた息子が、社割を利用して手に入れてきたのが、小川テント(キャンパルジャパン)のツールームテント「ファシル」だった。
正直に言えば、私個人の好みは昔から一貫して「テント+タープ」の組み合わせだ。タープの遮るもののない、圧倒的なオープンエアの開放感が好きだからである。
しかし、息子には息子のスタイルがある。設営の手軽さや、リビングと寝室が一体になったツールームの利便性が魅力的に映ったのだろう。これも一つの正解だ。私はあえて自分のこだわりを押し付けず、彼の選択を温かく見守ることにした。
息子が惚れ込んだ、小川「ファシル」の主な特徴
実際にフィールドで立ち上げる前に、まずはこのテントの主な特徴を整理しておこう。
- 2ルームテントだが、設営は比較的簡単
- シンメトリーでレイアウトを決めやすい
- 入り口が6箇所
- 四方をオールメッシュにできて風も通せる
- 全面スカート付きで寒い時期にも対応できる
- 張り綱がなくても自立する
カタログスペックを見る限り、日本の四季を快適に過ごすための工夫がこれでもかと詰め込まれた、非の打ち所がない名幕である。しかし、いざフィールドへ持ち出してみると、カタログだけでは見えてこない「リアル」があった。
初設営の洗礼。ショップ店員の息子でも苦戦した「長いポール」
いくら店で商品知識を叩き込まれている息子とはいえ、実際のフィールドでの初設営は一筋縄ではいかなかった。
ファシルは、先述した特徴の通り「張り綱がなくても自立する」優れた構造を持っている。その自立を支えるのが、4本のメインポールをすべてX型にクロスさせ、大きな井桁(いげた)のような美しい外枠(シェルター)を組み上げるシステムだ。

ここで最初の壁にぶつかった。
- ポールの長さに手こずる: 1本1本のポールが非常に長いため、端をピンに固定して立ち上げる瞬間に、かなりの力とバランスを要する。
- 広大なフィールドでの戸惑い: 店内の平坦な展示スペースとは違い、自然の地面の上でその巨体をコントロールするのは骨が折れる。
隣で見ていて、息子も「思ったようにはいかないな……」という苦笑いを浮かべていた。「設営は比較的簡単」と言われるファシルですら、初陣のフィールドでは相応の洗礼を受ける。
しかし、この苦労こそが彼の財産だ。明日から彼は店で、カタログスペックではない「リアルな立ち上げのコツ」をお客さんにアドバイスできるようになるだろう。
デメリットだと思っていた「開放感のなさ」は、クリアできる
実際に立ててみると、私が懸念していたデメリットは意外な形で解消された。
- 開放感の作り方: パネルを巻き上げれば、屋根以外は開放され、タープのような心地よさが味わえる。
- 雨や寒さへの安心感: もし悪天候に見舞われても、ファスナーを閉めれば一瞬で強固なリビング空間が完成する。
- 網戸スタイルも快適:パネルは網戸のように使用することもできる、夏場で虫が心配な場合も網戸スタイルにすれば快適に過ごせる。

一方で、収納サイズは普段スノーピークのアメニティドームやモンベルのムーンライトを使用している私にとっては驚くほど大きく、乾燥やメンテナンスにはそれなりのスペースが必要だということも痛感した。

また、インナーテント単体でみれば、アメニティドームMのほうが広い。インナーテントの広さは大人3人ぐらいがちょうどよい。
それでもツールームが「正解」と言える、全天候型の安心感
今回は7月の穏やかな気候だったため開放的に使えたが、もしこれが強い雨や、冬の厳しい寒さのキャンプだったらどうだろう。
ファシルなら、すべてのファスナーを閉じるだけで、外気や雨風を完全にシャットアウトした強固なシェルター(リビング空間)が完成する。この全天候型の安心感と、お籠り(おこもり)の快適さは、どれだけ優れたテントとタープを組み合わせても絶対に敵わない、ツールームだけの特権だ。
道具を使い込んで、自分のスタイルを作っていけばいい
道具に絶対的な正解はない。私のように開放感を愛するスタイルもあれば、ファシルのように快適性と安心感を追求するスタイルもある。
息子も、この大きなテントの設営に汗を流し、車への積み込みに頭を悩ませ、そして快適な夜を過ごす中で、自分なりの「キャンプの輪郭」を掴んでいくはずだ。
いつか彼が自分だけのスタイルを完成させる日を楽しみにしながら、私はしばらく、この大きなツールームの相棒として、親子の時間を楽しもうと思っている。

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