キャンプを始めようと思ったとき、「結局、何を持っていけばいいのだろう」「最初から全部そろえる必要があるのだろうか」と迷う人は多いと思う。
キャンプ用品店へ行けば、テントにタープ、焚き火台、ランタン、テーブル……。見ているうちに、どれも必要な気がしてくる。
私は高校時代にワンダーフォーゲル部でキャンプを始め、その後、自転車やバイクでのキャンプ旅行や子どもとのファミリーキャンプなど、40年以上キャンプを続けてきた。その間、道具を増やしすぎたり、買ったものを使わなくなったりしたこともある。
そんな経験から、初心者は最初から全部買いそろえなくていいと思っている。この記事では、私自身の失敗も含めて、最初に必要なものと、実際にキャンプをしてから買っても遅くないものを整理する。
初心者が最初にそろえたい持ち物
車で一般的なキャンプ場へ一泊するなら、私ならまず「泊まる」「明かりを確保する」「最低限の食事をする」ために必要なものから考える。
最初に用意したいのは、次のような道具だ。
・テント、ペグ、ペグハンマー
・寝袋、マット
・テーブル、チェア
・LEDランタン、ヘッドライト
・バーナーやコンロ、最低限の調理用品
・着替え、防寒着、雨具
・救急用品、常備薬
ただし、ここに挙げたものをすべて新品のキャンプ用品として買う必要はない。
テーブルとチェアも、食事をしたり休んだりするために用意したい。ただし、テーブルには高さや大きさの違いがあり、使う人数によっても必要なサイズは変わる。最初から自分に合ったものを決めるのは難しいので、借りられるものがあれば使ってみてから選んでもいい。
私もファミリーキャンプを始めたころ、友人からもらった高さ70センチほどの家族用の大型テーブルを使っていた。家族で囲むには十分広く、一台で済むので便利だった。
ただ、大きいテーブルは車の中でも場所を取り、出すのも片付けるのも手間になる。子どもが大きくなって一緒に行く人数が減ると、我が家にはそこまで大きなテーブルは必要なくなり、次第に使わなくなった。
今は約55×35×高さ37cmのユニフレームの焚き火テーブルを2台と、ほぼ同じ大きさの他社製テーブルを組み合わせて使っている。我が家の場合、キャンプは通常2人、多くても3人なので、必要な広さに合わせて使う台数を変えられるほうが都合がいい。
もちろん、家族の人数が多ければ、一台の大型テーブルを囲むほうが使いやすい場合もある。大型と小型のどちらが正解ということではなく、人数やキャンプのスタイルが変われば、使いやすい道具も変わる。
だから、最初から長く使うつもりで何でも買いそろえるより、一度使ってみて、自分たちに合う大きさや高さが分かってから選ぶほうがいいと思っている。
まず寝るための道具を優先する
キャンプというと焚き火や料理に目が向くが、私が初心者に優先してほしいのはテントや寝袋、マットなど、安心して眠るための道具だ。
昼間なら多少の不便も楽しめる。でも、寒くて眠れない、地面が硬くて何度も目を覚ますとなれば話は別。翌朝は寝不足のまま撤収することになる。
テントは設営しやすさも確認する
テントは表示されている収容人数だけでなく、荷物を置くスペースも考えて選びたい。そして初心者なら、設営方法も確認しておいたほうがいい。キャンプ場で初めて箱を開け、「このポールはどこに入れるんだ?」となると、それだけで時間が過ぎていく。
できれば出発前に一度広げるか、少なくとも設営方法は確認しておきたい。
それと、意外にやってしまうのがポールの積み忘れだ。テント本体は持ってきたのに、ポールだけ家に置いてきた。これではキャンプ場に着いてからどうにもならない。
テントを車に積んだら、それで安心せず、フライシート、ポールとペグまで一緒にあるか確認する。私も忘れ物チェックでは「テント」だけでなく、「テント・フライシート・ポール・ペグ」を一組として見るようにしている。
寝袋とマットはセットで考える
寝袋は、行く季節や場所に合ったものを選びたい。特に標高の高いキャンプ場では、昼間は暖かくても夜になると思った以上に冷えることがある。
購入するときはメーカーが示す使用温度の目安を確認し、「快適温度」「限界温度」など、その数値が何を示しているのかまで見ておきたい。車に余裕があるなら、最初のうちは予備の毛布を一枚積んでおくと安心だ。
私は真冬のキャンプには慎重で、装備不足のまま寒さを我慢するのはキャンプの楽しみとは少し違うと思っている。
そして、寝袋とセットで考えたいのがマットだ。地面からの冷えと硬さは案外こたえるので、寝袋だけ用意してマットを省くのはおすすめしない。
私はかさばりにくい、寝袋の下だけに敷くタイプを使っている。インフレーターマットは快適だが、穴が開く心配がある。その点、サーマレストのリッジレストクラシックやZライトのような空気を入れないタイプは、パンクを気にせず使える。
私が使っているサーマレストも少なくとも10年は使い続けており、この丈夫さと気楽さが気に入っている。
最初から高価なものを買う必要はない。借りたりレンタルしたりしてもいいので、寝袋とマットは一緒に準備しておきたい。
買う道具と後回しにする道具を分ける
キャンプ用品は見ているだけでも楽しい。私も道具は好きで、今でもガソリンランタンやガソリンコンロを使っている。ただ、好きだから持っている道具と、初心者に必要な道具は別だ。
ガソリンランタンには燃料を入れたり点火したりする手間があるが、私はそれも含めて楽しんで使っている。初めてなら、まずは扱いやすいLEDランタンで十分だと思う。サイトを照らすランタンとは別に、トイレへ行くときなどに使えるヘッドライトや小型ライトもあると便利だ。
たとえば、初めてならランタンは扱いやすいLEDで十分だと思う。サイトを照らすランタンとは別に、トイレへ行くときなどに使えるヘッドライトや小型ライトもあると便利だ。
調理道具も、最初からダッチオーブンや専用の調理器具までそろえなくていい。「焼く」「沸かす」「簡単に煮る」くらいから始めれば十分だろう。夏場であれば家庭用のカセットコンロでも調理ができる。
焚き火台は最初からあってもいい
最低限でいいと言いながら、私なら焚き火台は最初から持っていきたい。なくてもキャンプはできる。でも、せっかくなら火を囲む時間も楽しんでほしい。
初めて買うなら、焼き網を載せて調理にも使えるタイプが便利だと思う。私が使っているのは、ユニフレームの「ファイアグリル」だ。
炭を使って焼肉やバーベキューをし、食事が終わったら薪をくべる。そのまま焚き火台として使えるので、調理用と焚き火用を別々に持っていかなくて済む。
一つの道具で二つのことができれば、荷物を増やしすぎずキャンプらしい楽しみも残せる。食べ終わって片付けが一段落したら薪をくべ、あとは火を眺めながらのんびり過ごす。
息子とのキャンプでも、火を囲みながら話をするときもあれば、それぞれ黙って火を見ていることもある。何か特別なことをするわけではないが、そんな時間が案外いい。
もちろん、焚き火や炭火の使用はキャンプ場のルールに従う。直火禁止なら焚き火台を使い、焚き火自体が禁止されていれば行わない。風が強い日に無理をするものでもない。

タープや便利道具は後からでもいい
タープは日差しや雨を避けられる便利な道具で、私自身はテントと別に張るスタイルが好きだ。
ただ、初心者全員が最初から買う必要はない。ツールームテントならリビング部分があるし、一度キャンプをしてから必要かどうか考えてもいい。
私もファミリーキャンプを始めたころ、高さ70センチの大型のキャンプテーブルを買った。家族で使うなら大きいほうが便利だろうと思ったからだ。
ところが、大きいものは車の中でも場所を取り、出すのも片付けるのも手間になる。子どもが大きくなり、キャンプのスタイルが変わると次第に使わなくなり、今は低い小型のテーブルに落ち着いている。
安価なタープを買ったものの、すぐに雨漏りし、長く使えなかったこともある。この経験から、最初から何でも安くそろえるのではなく、本当に必要だと分かってから、長く使うものを選ぶほうがいいと考えるようになった。
「ないと困る」のか、「あったら楽しそう」なのか。ここを分けるだけでも最初に買う道具は減らせる。後者なら、まず一度キャンプをして、本当に欲しいと思ってから買っても遅くない。
40年続けて分かった道具の増やし方
振り返ると、私のキャンプ道具は「少ない→増える→また減らす」という流れだった。
高校時代のワンダーフォーゲル部では、自分で背負うから最低限。北海道を自転車でキャンプ旅行したときも、余計な荷物を積めばその重さを自分で運ぶことになる。
バイクになって少し積めるようになっても、やはり限界はあった。大きく変わったのは、子どもを連れて車でファミリーキャンプへ行くようになってからだ。
「寒かったら困る」「これもあったほうが便利だろう」と考えるうちに、道具が増えていった。家族にはなるべく快適に過ごしてほしかったのだと思う。
でも、道具が増えれば積み込み、設営、撤収、帰宅後の片付けも増える。その中には、結局ほとんど使わないものもあった。そこで、「持っていけることと、持っていく必要があることは違う」と考えるようになった。
今は高校時代の最低限装備へ戻ったわけではない。好きなガソリンランタンは使いたいし、焚き火もしたい。朝にはゆっくりコーヒーも淹れたい。
必要な快適さと自分が楽しみにしているものは残す。そのうえで、使わないものは持っていかない。今はそのくらいがちょうどいい。
雨への備えと臨機応変な対応
以前、次男とのキャンプで雨の中を撤収することになった。濡れたテントをきれいに畳むのは諦め、大きなゴミ袋へ入れて車に積んだ。家へ帰ってから広げて乾かせばいい。
その後はサファリパークへ寄った。雨だからといって、キャンプ全体が失敗になるわけでもない。
セパレート式のレインウエアと大きなゴミ袋は何枚か持っていくようにしている。傘をさして撤収はできないし、ごみ袋は濡れたテントや泥の付いた道具を一時的に入れるのにも使えるからだ。
反対に、強い雨の日にキャンプ場まで行ったものの、泊まらず帰ったこともある。入り口でキャンプ場のオーナーから「今日はやめておいたほうがいい。サイトがぬかるんでいて中で車が動けなくなるよ」と言われた。
息子も雨の中でテントを張ることに乗り気ではなかった。ここまで来たのだからテントくらい張ろうか、と少し迷ったが、無理をして泊まる必要もないと考え、その日はキャンプをやめた。
代わりに近くの温泉に入って帰った。道具を持ってキャンプ場まで来たからといって、必ず泊まる必要はない。その場の状況を見て予定を変えることも必要だと思っている。
お金をかける物を選ぶ
初心者がキャンプ用品を一式そろえようとすると、かなりお金がかかる。だから、すべてに同じようにお金をかける必要はない。
食器や小さな収納用品は、家にあるものや100円ショップでもいい。一方、私は寝袋やマット、ペグなどについては価格だけでは選ばない。
特にペグは信頼性を重視している。以前、硬い地面で付属のペグがなかなか入らず、設営に苦労したことがある。それからは、見栄えのいい小物を増やすより、地面にしっかり打ち込めるペグへお金を回すようになった。
もちろん、丈夫なペグがあれば悪天候でも大丈夫という意味ではない。風雨が強ければ撤収する。道具を過信しないことが前提だ。
予算に限りがあるなら、
- 寝袋やマット、ペグなど、安全や睡眠に関わるものは価格だけで決めない
- 家庭用品で代用できるものは、まず代用する
- 好みが分からないものはレンタルも使う
- 一台で複数の用途に使える道具を選ぶ
- 実際に必要だと思ったものを次回から買う
このくらいの分け方が現実的だと思う。
私自身、ガソリンランタンやガソリンコンロのように長く使っている道具がある一方、大型のキャンプテーブルのように使わなくなったものもある。40年以上キャンプをしていても、買い物に全部成功してきたわけではない。
だから初めてなら、なおさら最初からすべての道具を買いそろえなくていい。
まとめ
キャンプ初心者の持ち物は、最初から完璧にそろえる必要はない。まずはテント、寝袋、マット、明かり、最低限の調理道具、雨具や防寒着など、泊まるために必要なものを優先する。
家にあるもので代用できるものは買わず、好みが分からなければレンタルを使う。タープや便利道具は、実際にキャンプをして必要だと思ってからでも遅くない。
一方、最低限だけにこだわって楽しみまで削る必要もない。私なら、焼肉やバーベキューに使ったあと、そのまま火を眺めて過ごせる焚き火台は最初から持っていきたい。
高校時代の山や自転車キャンプでは最低限だった道具が、子どもとのファミリーキャンプでは増え、今はまた必要なものを選ぶようになった。
40年以上かけて、一周してきたようなものかもしれない。道具を増やしたり、使わなくなったものを減らしたりしてきたからこそ、最初から全部そろえる必要はないと思っている。
最初のキャンプで「これが足りなかった」と思ったら、次に足せばいい。反対に使わなかったものは、次は置いていけばいい。
そうやって自分や家族に合った持ち物を見つけていくくらいが、キャンプを始めるにはちょうどいいと思っている。


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