【富士山麓の親子キャンプ】新調したアメニティドームと雨の洗礼。息子と学んだ「撤収」の極意

お下がりを卒業し、親子で迎える「新築」の朝

長年、友人からもらった古いテントを騙し騙し使ってきたが、ついに新しいテント、スノーピーク「アメニティドーム」を手に入れた。

その初陣に選んだのは、富士山を仰ぎ見る美しい芝生が広がる「やまぼうしオートキャンプ場」だ。富士山の雄大な姿をバックに、息子と二人で真新しいテントを広げる。シワひとつない生地が陽光を弾く様子は、まるで新しい我が家を建てたときのような高揚感があった。

御殿場の名店で仕入れた、最高の晩餐

やまぼうしへと向かう道すがら、御殿場の「山﨑精肉店」に立ち寄る。キャンプ好きには名の知れた名店だ。 ここで手に入れたのは、鮮度抜群の馬刺しと、脂の甘みが格別な金華豚の焼き肉用。これこそが、新しいテントの門出を祝う今夜の主役だ。

芝生の上でフリスビーを追いかけ、ひとしきり遊んだ後は、待ちに待った夕食の時間。 富士山が紅く染まりゆく中、まずは馬刺しを口に運ぶ。そして炭火で金華豚を焼き始めると、上質な脂の香りが辺りに漂い、息子の顔にも自然と笑みがこぼれる。

アメニティドームを背景に、親子で最高の肉を囲む。この時間は、日常の慌ただしさを忘れさせてくれる至福のひとときだった。

雨の洗礼。不安がる息子に伝えたかった「構造の力」

しかし、山の天気は気まぐれだ。翌朝、目が覚めると無情にも雨音がテントを叩いていた。 「お父さん、せっかくの新しいテントがびしょ濡れだよ……」 悲しそうに濡れた幕体を見つめる息子。彼にとって、宝物のように扱っていた新品のテントが汚れていくのは、耐え難いことだったのだろう。

私は彼にこう語りかけた。 「大丈夫。テントは雨でも大丈夫なように作られているんだよ。テント本体とフライシートの間に空間があるだろう? あれは、雨が本体に染み込んでこないための工夫なんだ。だから、この中にいれば安心なんだよ」

不安を安心に変えるのは、根性ではなく「構造を知ること」と「ちゃんとした装備を持つこと」多少天気が悪くても、知識と装備があれば何とかなる。それを教える絶好の機会だと思った。

オートキャンプ流、最短の「ゴミ袋撤収術」

そして、雨の撤収。ここからは、親子二人の共同作業だ。 今回、息子にはこういう時のために買っておいたモンベルのレインウェア(上下セパレート)を着用させた。

しっかりとした雨具に身を包めば、雨の中でも濡れることなく、落ち着いて行動できる。この「安心感」こそが、悪天候時のメンタルを支えてくれる。

撤収において、今回は丁寧にたたまず、大雑把に用意しておいた大きなゴミ袋にしまう形をとった。 今回はオートキャンプだ。登山やバイク旅とは違い、ラフにゴミ袋に入れてテントがかさばることになっても、車に詰め込むスペースはある。雨の中、時間をかけてじっくり畳んでも、どうせ帰ったらもう一度広げて乾かさなければならないからだ。

「よし、今日はスピード優先だ。ゴミ袋に入れるぞ!」

ポールだけを素早く抜き、濡れたフライシートをざっと丸めて特大のゴミ袋に放り込む。息子が雨に打たれる時間を最小限にしつつ、車内を汚さずにパッキングを完了させる。状況に合わせた「最適解」を選ぶことも、キャンプの重要な知恵の一つだ。

雨の富士サファリパークと御胎内温泉

予定を切り替え、雨でも営業している「富士サファリパーク」へ。 雨に打たれる猛獣たちは、晴れの日よりもどこか野生味が増して見え、意外にも「おつ」なものだった。息子もいつの間にか身を乗り出して見入っている。

その後は「御胎内(おたいない)温泉」へ。冷えた体を温めながら、「雨の中のゴミ袋撤収、あれはあれで面白かったね」と笑い合うことができた。

ガレージで乾かす旅の記憶

数日後の休日。晴れ渡った空の下、自宅のガレージで息子と一緒にテントを広げた。 水滴を払い、陽の光に当てると、アメニティドームは再びあの輝きを取り戻していく。

不安げな顔で濡れたテントを見つめていた息子だったが、乾いた幕体を丁寧に取り込むときには、すっかり安心した、誇らしげな表情に変わっていた。 「次はいつ行く? 今度は雨でも平気だよ」

装備を信じ、状況を判断し、手入れを楽しむ。雨を乗り越えた経験が、息子をまた一歩、逞しいキャンパーに近づけてくれた。

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