50代になり、子育ても一段落すると、夫婦二人でキャンプを楽しむ時間が持てるようになる。しかし、夫婦だからといって、キャンプの楽しみ方が同じとは限らない。
私自身、妻と二人でキャンプに出かけ、準備や出発時間をめぐって不満を感じたことがある。
そんな私が気づいたのは、夫婦で何でも一緒にやろうとしない方が、かえってうまくいくということだった。
40年以上キャンプを続けてきた私が、妻との実体験をもとに、50代夫婦が喧嘩を減らしてキャンプを楽しむための工夫を紹介したい。
50代夫婦二人のキャンプは、楽しみ方が違ってもいい
夫婦二人のキャンプというと、一緒にテントを設営し、料理を作り、焚き火を囲んで語り合う。そんな光景を想像するかもしれない。
もちろん、それも素敵な過ごし方だ。ただ、我が家の場合は少し事情が違う。
私は高校時代にワンダーフォーゲル部に入って以来、40年以上キャンプを続けている。若い頃には自転車やバイクで北海道を旅し、現在もソロキャンプや息子とのキャンプを楽しんでいる。
一方、妻はキャンプにそれほど積極的ではない。
キャンプの準備も、テントの設営も、私が中心になって行う。最初の頃は、そんな妻の態度に不満を感じることもあった。
しかし、考えてみれば、妻と私はキャンプに求めるものが違うのだ。
私は自然の中でのんびり過ごすことや、道具を使う楽しさを求めている。妻にとっては、休日にわざわざ不便な場所へ行くこと自体、それほど魅力的ではないのだろう。
夫婦だからといって、同じ楽しみ方をする必要はない。このことに気づいてから、妻とのキャンプに対する私の考え方も変わった。
夫婦キャンプで喧嘩になる原因は、ちょっとした期待の違い
夫婦でキャンプをすると、普段の生活では気にならないことが喧嘩の原因になる場合がある。
我が家で実際にあったのは、出発時間をめぐる問題だった。
朝早く出発したい私と、準備が遅い妻
首都圏から車でキャンプに行く場合、私が気にするのは道路の渋滞だ。できれば朝早く出発し、都心の混雑を避けてキャンプ場へ向かいたい。早く到着できれば、設営を済ませて、午後はのんびり過ごせる。
ところが、妻の準備がなかなか終わらない。私としては早く出発したいのだが、予定していた時間を過ぎてしまう。
結局、出発が遅くなり、渋滞に巻き込まれたことがあった。
こうなると、せっかくの休日なのに、キャンプ場へ向かう途中から気分がよくない。ただ、後から考えると、私が早く出発したかった理由を、妻も同じように重要だと考えていたわけではないのだろう。
私は渋滞を避けることを優先していたが、妻には妻の出発前の準備があったのだ。もちろん、出発時間を守ってもらいたい気持ちは今でもある。
それでも、自分の予定どおりに進まないことを、すぐに相手の問題だと考えないようにしたいと思っている。
テント設営を手伝ってもらえない不満
もう一つ、以前の私が不満に感じていたのがテントの設営だ。テントやタープを張るとき、ほんの少し誰かに手を貸してもらいたい場面がある。
ポールを支えてもらったり、反対側のロープを持ってもらったりするだけでも、作業がずいぶん楽になる。ところが、妻はキャンプ道具の扱いに慣れていない。
何をどうすればよいのか分からないため、積極的に手伝うこともなかった。私は長年キャンプをしているので、設営の手順は分かっている。
しかし、妻にとっては当たり前の作業ではない。
それなのに、私はどこかで「一緒に来たのだから、少しくらい手伝ってほしい」と期待していたのだ。
今思えば、この期待そのものが、すれ違いの原因だったように思う。
妻はお客様、私はホスト。考え方を変えたら楽になった
妻とのキャンプで私が大きく考え方を変えたのは、役割分担についてだ。それまでは、夫婦二人で来ているのだから、準備も設営も片付けも、ある程度は協力するものだと考えていた。
しかし、妻はそもそもキャンプにそれほど興味がない。そこで、私は発想を変えた。
「私はソロキャンプに来ている。妻はそこへ招いたお客様だ」
こう考えることにしたのだ。
最初から手伝いを期待しなければ腹も立たない
私はソロキャンプにも行く。一人なら、テントの設営から料理、撤収まで、すべて自分で行うのが当たり前だ。誰かに手伝ってもらえないからといって、不満に思うこともない。
それなら、妻と二人で行くときも、基本的には自分一人でできる準備をしておけばよいのではないか。
そう考えるようになった。
もちろん、どうしても手が必要なときには、具体的にお願いすればよいと思う。ただ、最初から妻を作業要員として数えない。この考え方に変えてから、以前より気持ちが楽になった。
妻が何もしないことを我慢するというより、そもそも手伝ってもらうことを前提にしないのだ。これは、夫婦のどちらかが一方的に我慢すべきだという話ではない。
私の場合は、自分が好きでキャンプに行くのだから、自分が中心になって準備する方が自然だと感じたのだ。
ホスト役になるなら、無理をしないことも大切
ただし、何もかも自分で引き受けて、疲れ果ててしまっては意味がない。せっかくキャンプに来たのに、料理や片付けに追われて一日が終わってしまうのは、私の望む過ごし方ではないからだ。
50代の夫婦二人なら、子どもたちが小さかった頃のように、あれこれ世話を焼く必要もない。食事は簡単なもので十分だし、テントの設営も必要以上に凝らなくてよいと思う。
ホスト役といっても、旅館の従業員のように働き続けるつもりはない。自分も楽しめる範囲で、相手に気持ちよく過ごしてもらう。このくらいが、私にはちょうどよいようだ。
妻がキャンプよりホテルや旅館を好む理由
妻がキャンプに積極的ではない理由についても、以前より理解できるようになった。妻は普段、家事をしている。
せっかくの休日に出かけるのなら、食事の準備も後片付けもせず、ゆっくりしたいと思うのは自然なことだろう。ホテルや旅館なら、食事を用意してもらえる。お風呂もあり、寝具を準備する必要もない。
それに比べてキャンプでは、到着したらテントを張り、食事を作り、翌朝には撤収しなければならない。私にとっては、それもキャンプの楽しみの一部だ。
しかし、妻から見れば、休日にわざわざ家事のようなことを増やしているように感じるのかもしれない。ここは、キャンプ好きな人が見落としやすいところだと思う。
キャンプが好きな人にとっての楽しみが、同行する家族にとっても楽しみとは限らないのだ。だからこそ、妻とキャンプに行くときには、できるだけ家事の延長にならないようにしたいと考えている。
料理は手間の少ないものにする。洗い物も増やさない。設営や撤収は私が中心になって行う。
そして、妻がキャンプよりホテルや旅館を選びたい日には、その希望も尊重したいと思う。
50代夫婦二人のキャンプを楽しむ5つの工夫
私の経験から、夫婦二人でキャンプを楽しむには、道具やキャンプ場選びだけでなく、過ごし方を少し工夫することが大切だと感じている。
1. 出発時間は前日までに決めておく
我が家のように、出発時間が原因で気まずくなることもある。そのため、出発当日の朝になってから急かすより、前日までに予定を共有しておく方がよいだろう。
例えば、朝7時に出発したいなら、その理由も伝えておく。
「早く出ないと渋滞するから」だけではなく、「早く着いて、午後はゆっくり過ごしたいから」と説明する方が、目的も伝わりやすいと思う。
また、車への荷物の積み込みなど、自分でできることは前日までに済ませておく。それでも出発が遅れる可能性はあるが、時間に余裕を持たせた予定にしておけば、焦りも少なくなる。
2. 設営や撤収は一人でもできる装備にする
夫婦二人だからといって、大きなテントが必要とは限らない。私自身、キャンプ道具は必要以上に増やさない方が好きだ。
ただし、妻と行く場合には、居住性や快適さも考えたいところだ。
一人で設営できることを基本にしながら、二人が窮屈に感じない広さを確保する。
テントとタープを組み合わせるのもよいし、設営しやすいツールームテントを選ぶ方法もある。
大切なのは、自分の好みだけで決めないことだ。
設営が大変な装備を持っていき、妻に手伝ってもらえないと不満を感じるくらいなら、最初から無理のない装備を選んだ方がよいと思う。
3. 食事は簡単にして、片付けを減らす
キャンプ料理というと、炭火で焼いた肉やダッチオーブンを使った料理など、手の込んだものを想像するかもしれない。
しかし、夫婦二人なら、そこまで頑張る必要はないだろう。例えば、肉や野菜を焼くだけでも十分おいしい食事になる。
下ごしらえを自宅で済ませたり、洗い物の少ない調理器具を使ったりするだけでも、負担は軽くなる。
特に、普段から家事を担当している妻にとっては、キャンプ場でまで料理や後片付けを任されないことが大切なのだと思う。
私もキャンプでは、料理に時間をかけすぎず、のんびり過ごす時間を確保したいと考えている。
4. キャンプ以外の楽しみを一つ用意する
これは、実際に妻が喜んでくれた経験からおすすめしたい方法だ。山梨方面へキャンプに行ったとき、途中のワイナリーに立ち寄ったことがある。そこで地元のワインを購入した。
妻はお酒が好きなので、ワイナリーでの試飲も楽しんでいたようだ。
そして、キャンプ場では購入したワインを飲んで過ごした。このとき、妻が喜んでくれたことが印象に残っている。
私にとってキャンプの楽しみは、自然の中で静かに過ごすことだ。しかし、妻にとっては、おいしいワインを楽しむことも大切な目的になる。
同じ場所にいても、楽しみ方は違っていてよいのだ。
※ワイナリーで試飲する場合、運転する人は飲酒しないことが前提だ。飲酒運転は絶対に避けなければならない。
ワインに限らず、途中で評判のパン屋に寄ったり、地元のおいしい食材を買ったり、帰りに温泉を楽しんだりするのもよいだろう。
キャンプそのものに強い興味がない相手でも、別の楽しみがあれば、出かける時間が充実したものになる。
5. 何もしない時間を楽しむ
夫婦二人のキャンプでは、予定を詰め込みすぎないことも大切だ。子どもが小さかった頃は、遊びの準備をしたり、食事の世話をしたりと、何かと忙しかったものだ。
しかし、50代になり、夫婦二人なら、そこまで予定を立てる必要はない。椅子に座ってコーヒーを飲む。本を読む。景色を眺める。お互いに好きなことをして過ごす。
私はキャンプに行くと、できるだけ何もしない時間を大切にしている。
普段の仕事や生活から離れ、自然の中で気持ちをリセットすることが、私にとってキャンプの一番の魅力だからだ。夫婦で来ているからといって、ずっと会話をしたり、同じことをしたりする必要もないと思う。
同じ場所で、それぞれが気持ちよく過ごせれば、それで十分ではないだろうか。
夫婦キャンプに向いているキャンプ場の選び方
私は普段、設備が充実した高規格キャンプ場よりも、比較的空いていて静かなキャンプ場を好む。
しかし、妻と二人で行く場合には、自分の好みだけで選ばない方がよいと思っている。
特に気をつけたいのは、トイレや水回りなどの設備だ。
キャンプに慣れている人なら気にならないことでも、普段あまりキャンプをしない人には負担になる場合がある。
夫婦二人で行くなら、次のような条件を確認するとよいだろう。
- トイレが清潔で、夜間も利用しやすい
- 炊事場が使いやすい
- 車からテントサイトまでの荷物運びが大変ではない
- 隣のサイトとの距離がある程度確保されている
- 近くに温泉や観光スポットがある
ただし、設備が充実していれば必ず快適とは限らない。
人気のキャンプ場は混雑することもある。
私は静かな環境が好きなので、設備と落ち着いた雰囲気のバランスを考えて選びたいところだ。
また、天気予報が悪い場合は、無理に出かけないことも選択肢だ。せっかく来たのだからと無理をしても、楽しい休日になるとは限らない。
特に、キャンプに積極的ではない妻を連れて行くなら、悪天候の中で我慢するより、予定を変更する方がよい場合もあるだろう。
夫婦でキャンプをするとき、無理に仲良くしようとしなくてもいい
夫婦二人でキャンプに行くからには、仲良く過ごさなければならない。そんなふうに考えると、かえって疲れてしまうかもしれない。
長く一緒に暮らしていれば、考え方が違うことも、意見が合わないこともある。我が家も例外ではない。妻と私は、物事の進め方も、休日の楽しみ方も違う。
私は早めにキャンプ場へ着いて、静かに過ごしたい。妻は、せっかくの休日なら家事から離れて楽をしたい。どちらかが間違っているわけではない。
以前の私は、キャンプに来たのだから、妻にもキャンプの楽しさを理解してほしいという気持ちがあったのだと思う。
しかし、今はそれほどこだわらなくなった。
妻がキャンプそのものを好きにならなくても、おいしいワインを飲んで、気持ちよく過ごしてくれれば、それでよいのだ。私も自分の好きな道具を使い、自然の中でのんびりできれば満足だ。
相手を自分と同じキャンプ好きにしようとしないこと。
これが、私にとって夫婦キャンプを楽しむ一つの答えになった。もちろん、ホスト役になることが負担に感じられるなら、無理に続ける必要はない。
キャンプはソロや息子と楽しみ、妻とはホテルや旅館へ出かける。そんな休日の使い分けも、十分にありだと思う。夫婦だから何でも一緒に楽しむ必要はないのだ。
まとめ|50代夫婦のキャンプは、相手に期待しすぎない方が楽しめる
50代夫婦二人でキャンプを楽しむには、同じ趣味や役割を求めすぎないことが大切だと思う。
私も以前は、妻が準備や設営を手伝ってくれないことに不満を感じていた。しかし、「自分はソロキャンプ、妻はお客様」と考えるようになってから、気持ちが楽になった。
料理や設営は無理をせず、妻には好きなワインを楽しんでもらう。私も自然の中でのんびり過ごす。
夫婦それぞれが、自分なりの楽しみを見つけられること。
それが、喧嘩を減らして夫婦キャンプを楽しむための、私なりの方法だ。

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