私は当初、社労士試験の直前期(試験直前の2〜3か月間)は、「とにかく問題を解く練習をすればいいばいい」と思っていました。でも、実際に必要なこと全然違いました。そんな中、限られた時間で何をやるべきか、焦りながらも試行錯誤したのを覚えています。
この記事では、そんな私が実際にやって効果を感じた勉強法や、忘れやすい知識との向き合い方について書いてみたいと思います。
社労士試験の山場をどう乗り越えるか悩んでいる方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
講義期と直前期(答練)の勉強法の違いを理解する
予備校のカリキュラムには2つのフェーズがあり、それは『講義期間=インプット』と『答練期間=アウトプット』でした。答練とは、答案練習の略で、問題を解く練習のことです。アウトプットができなければ試験には合格できません。まずは直前期にはアウトプットを意識することが、直前期の勉強の第一歩になります。
講義期は速修コースの場合1月(1年コースの場合は8月)から始まり、試験範囲を一通り学ぶインプットの期間とされていました。この時期(講義期間)は、テキストに沿って予習・講義・復習というサイクルを回しながら、知識の土台を作っていきます。
一方、答練期間(直前期)は6月初旬から始まり、本番の社労士試験(毎年8月の第4日曜日)までの約2~3か月間にあたります。この時期から授業のスタイルが大きく変わり、インプット中心だった講義から、問題演習を中心としたアウトプット型の勉強法へと変化します。

実際の授業では、講義時間の前半で練習問題を解き、その後に講師が解説を行いながら、重要なポイントや間違えやすい点などを説明してくれます。これにより、自分の理解度を客観的に確認できるだけでなく、「得点できる知識」に変えていく力が養われていきます。
つまり、直前期とは、試験で点を取るために必要な実力の最終仕上げの期間。この2〜3か月をどう過ごすかで、合否の分かれ目になると言っても過言ではありません。

正解だけ覚えるのはNG!私がやった過去問の解き方
また、社労士試験の直前期、予備校の授業では答練(答案練習)が中心となりますが、それとは別に過去問を解くことも非常に重要です。私はこの時期、休日などの時間を使って主に過去5年分の本試験問題に取り組んでいました。
特に注意したのは、「正解だけを覚えてしまう」という事への対策です。社労士試験の択一式問題では、5つの選択肢から正解を選びますが、繰り返し解いていると“これは3つめが正解だったな”と機械的に覚えてしまうことがあります。
それを避けるための勉強法として、私は5つの選択肢を「分解」して、その一つひとつについて「この選択肢はなぜ正しいのか、どこが間違っているのか」を説明できるように練習していました。
具体的には、ルーズリーフに次のことを書きこみながら過去問を解いたのです。
- 何年の過去問か
- 問題番号
- 選択肢ごと(A~E)に、次の情報を書き込む:
- その選択肢が正しいかどうか(正しい→〇、誤り→×)
- その理由(なぜ正しいのか、なぜ誤っているのか)
これにより、たとえば同じ選択肢の内容について、異なる形で出題された場合でも対応できるようになりました。
また、間違えた問題のテキストの該当箇所に「マ」と記入し、2回間違えたら「マ、マ」と印を重ねていきました。間違えるところは不思議と何度も間違えるのです。復習時にはこの「マ」がついた箇所も重点的に確認し、自分の弱点をテキストの復習時にも思い出せるようにしました。
このような過去問の進め方は、得点力を鍛える訓練になったと感じています。
過去問×蛍光ペンで出題箇所を見える化
予備校では、講義期から、講師が過去の社労士試験問題を分析し、出題傾向を丁寧に解説してくれていました。たとえば、労働基準法の「労働条件の明示」に関する項目では、過去5年で6回出題されていたというように、かなり具体的な情報を話してくれたのです。
私はその過去問の情報を聞くたびに、テキストの該当箇所に出題頻度をメモし、さらに蛍光ペンで色分けをして可視化していきました。これが後々、非常に大きな効果を発揮することになります。
私が使っていた色分けルールは、信号機の色を参考にした工夫して次のようにしました。
- ピンクの蛍光ペン:過去5年で3回以上出題(最重要)
- 黄色の蛍光ペン:2回出題(要注意)
- 青の蛍光ペン:1回出題(最低限チェック)
これで、一目見ただけで重要度が直感的にわかるようになりました。試験本番でも「ピンク=出題の可能性大!」(信号の赤=危険)と意識づけができていたので、実際にその内容が出題されたときには、迷わず思い出すことができました。
このように講義期にテキストに記載しておいた「出題箇所の可視化」で、直前期での復習効率を大きくすることができました。特に時間のない社会人にとっては、重要度に応じてメリハリをつけて学習できるこの勉強法は、非常によかったと感じています。
忘却との戦いは、復習の”回すスピード”がカギ
社労士試験は、試験範囲が非常に広いです。1回の講義で学習した内容を、予習・復習して終わりにしてしまうと、しばらくして内容を忘れてしまうことも多々あります。社労士試験とは、言い換えれば「忘却との戦い」なのです。
私の場合、直前期に入ってからの勉強法で、特に意識していたのが、「復習の間隔をどれだけ短くできるか」という点でした。というのも、一度覚えたことも、復習の間隔が空いてしまうと驚くほど簡単に忘れてしまうからです。
そこで私は、重要な箇所だけでも短いスパンで何度も見直す方法を考えました。たとえば、仕事で疲れていて十分な時間が取れない日でも、蛍光ペンで印をつけたピンク(最重要)や黄色(要注意)の箇所だけを素早く読むようにしました。
時間があるときはテキストのすべてを読んで復習する。時間がないときは重要なところだけを絞って復習する。このようにして、内容を完全に忘れてしまう前に必ずもう一度触れるという工夫を徹底しました。
また、試験本番が近づくにつれて、1回の復習にかける時間はできるだけ短くするようにして、その分、回転数を増やして繰り返すことを重視しました。何度も見ていると、ピンクや黄色の重要項目を読むだけで、周辺知識や細かい点(青の箇所や注釈)も自然と頭に浮かんでくるようになるのです。
この「短く、何度も、忘れる前に」が、忘却防止に本当に大切なのです。ぜひ意識してみてください。
知識を“木”として捉える記憶法
私は社労士試験の勉強を進める中で、「知識を木にたとえて捉える」という感覚を自然と持つようになりました。これが、直前期に大量の情報を整理し、忘れないようにするのに非常に役立ったのです。
どういうことかというと、テキストに蛍光ペンで色分けした重要項目(ピンクや黄色)を「幹」や「太い枝」とし、それに付随する細かな知識(青の項目や注釈)を「細い枝」や「葉」のようにイメージしていたのです。

このように知識を構造的に捉えることで、幹や枝にあたる重要項目を繰り返し復習するだけでも、その周辺にある細かい情報が自然と引き出されるようになっていきました。
実際、ピンクの項目だけを復習していたはずなのに、「あれ?この部分には確か○○という注意点があったな」と、関連する知識まで思い出せることが何度もありました。これは、幹を思い出せば葉もついてくるというイメージです。
この方法は、時間のない社会人が大量の情報を覚えるための「頭の中の整理術」として、非常に良かったです。情報をただ平面で覚えるのではなく、全体を「立体的に」イメージすることで、忘れることが少なくなりました。
まとめ
社労士試験の直前期は、多くの受験生にとって大きな山場です。講義期にインプットした知識を、いかにアウトプットに変え、試験本番で得点できる力に仕上げていくかが合否を分かれ道になります。
私自身、仕事や家庭と両立しながらの勉強生活だったため、まとまった時間が確保できない日も多くありました。そんな中でも合格できたのは、限られた時間の中で「何を、どこまでやるか」を必死に考え抜いたからです。
過去問をもとに出題傾向を把握し、蛍光ペンで重要度を見える化。復習の間隔を工夫して、忘れる前に繰り返す。知識を「木」のように構造的に捉えて、記憶を定着させる。このような一つひとつの工夫が、確かな積み重ねとなって、本番での実力発揮につながったと感じています。
社労士を目指す社会人の方にとって、直前期は「焦る」「不安」「忘れる」というプレッシャーが押し寄せる時期です。だからこそ、やみくもに量をこなすのではなく、自分に合った勉強法で取り組むことが大切です。
私も最初は何から手をつければいいのか全然分からなかったので、参考になれば幸いです。
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