社労士試験に挑戦する社会人にとって、予備校に通う意味はあるのか?時間がない中、仕事や家庭と両立しながら勉強する中で、そう感じる方は多いのではないでしょうか。
ただ、実際に通ってみて思ったのは、予備校で得られたのは“知識”だけではない、ということ。今回は、予備校に通学したからこそ経験できた「講師の言葉」や「受験仲間との出会い」、そしてそこで感じた人間模様や学びを振り返ってみたいと思います。
講師の言葉から得られたこと
通学していた社労士予備校では、講義内容だけでなく、講師がふと漏らす言葉に心を動かされる場面がありました。ここでは、私の記憶に特に残っている二つのエピソードをご紹介します。
講師の言葉がくれた、“辞めない”という選択
社労士予備校の講義が始まって2ヶ月ほど経った頃、ある日の授業中に、講師がこんな話をしました。
「この時期になると、よく聞かれる質問があります。“会社を辞めた方が、受験勉強がはかどるでしょうか?”と。」
教室が一瞬静まり返りました。私自身はそこまで真剣に「辞めた方がいいかも」と考えていたわけではありませんでしたが、仕事と勉強の両立に不安を感じていた私にとって、この話はとても有益でした。
講師の答えは、はっきりしていました。
「会社は辞めないほうがいいです。辞めると確かに時間はできますが、同時にプレッシャーも大きくなる。特にご家族がいる方の場合、リスクが高すぎます。」
- やめても思ったほど勉強が進まない人もいる
- 精神的・経済的に、よほど強くないと逆に追い込まれる
- 合格できなかったときの不安が重くのしかかる
子どもが2人いる私にとって、社会人として働きながら試験に挑むことが間違いではないと、あらためて確信できた瞬間でした。「辞めた方が有利なのかも…」と一瞬よぎった迷いも、この講師の言葉で払拭されました。

やる気を引き出す、講師のひと言の力
私の通っていた社労士予備校の講師は、よく講義中にこう言っていました。
「最高学府を出られた皆さんは…」
正直、私はそんなに立派な大学を出ているわけではありません。でもその言葉を聞くと、なぜか自分が認められたような気持ちになって、やる気が湧いてきたのです。
もちろん講師は、深い意図があったわけではなく、ひとつの言い回しとして使っていたのかもしれません。でも、受験勉強中はちょっとしたことで気分が上がったり、前向きになれたりするものです。
こういった何気ない一言が、自分を支えてくれることもある。それもまた、予備校ならではの良さだったと思います。
席順に見えた、“やる気”と“成績”の相関
社労士予備校では座席は自由席でしたが、ある傾向がありました。前の席から順に埋まっていくのです。
そして不思議なことに、成績と席順はなんとなくリンクしていたように思います。通っていた予備校には定期的なテストもあり、その結果と席の位置が比例していたのです。私は最前列ではなく、そのやや後ろに座ることが多かったですが、授業中に自席の周りを見渡すと、なんとなくいつも同じ受験仲間の顔ぶれで、みな同じような成績でした。
- 前方の席には、成績上位の受験生が多かった
- 講義前から自習している人も多い
- 前方の席は講師の言葉も聞き取りやすい
- 遅刻やギリギリに来る後ろの席の人は、あまり成績が伸びていなかった印象
つまり「やる気は座席に表れる」。これも、通学していたからこそ気づけた発見のひとつです。このことに気づいてからは、できるだけ早く教室に行き、前の座席に座り自習するように心がけました。
受験仲間との出会いがくれた支え
予備校1年目の速修コースでは、クラスの空気はややピリピリしていて、あまり交流はありませんでした。しかし2年目、総合本科クラスに通ったとき、ある出来事をきっかけに雰囲気が変わります。
講義の初期、ある受講生が前に立ち「今度みんなで交流会をしませんか?」と声をかけたのです。それをきっかけに、年に3回ほど、参加できる人たちだけ(クラスの内20人程度)で受験仲間同士で交流会が開かれるようになりました。
- 都市銀行、信用金庫、保険会社、メーカーの営業など職業も様々
- 年齢も20代〜50代まで幅広く、多様な人生背景
- 応援し合える「友情」も生まれた
ある交流会には講師も参加してくれて、開業後の営業の苦労話や、講義では聞けない社労士会の裏話など、本音の講師の言葉も聞けて貴重な経験となりました。

私は、この交流会が行われた年に合格できたのですが、試験結果発表後には、不合格だった人も含めて再び集まり、悔しさや喜びを語り合いながら、次の挑戦に向けて背中を押し合ったのを覚えています。今でも年賀状でやりとりが続いている人もいます。
こうした受験仲間とのつながりは、孤独になりがちな受験生活を大きく支えてくれました。予備校に通学しているなら、こういった機会があればぜひ参加してみることをお勧めします。
まとめ
社労士予備校に通って得られたのは、勉強の知識やスケジュール管理術だけではありません。
- 講師の言葉が支えになり迷いが晴れた
- 日常の中の姿勢(席順)に気づかされたこと
- 同じ目標を持つ受験仲間との出会い
どれも、通学というスタイルだからこそ得られたかけがえのない経験です。
これから社労士を目指す方が予備校の通学を検討されているなら、ぜひ「学びの質」だけでなく、「人とのつながり」や「環境の力」にも目を向けてみてください。
きっとそれが、あなたの背中を押してくれるはずです。
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